浮雲

 浮上しては沈んで、沈んでは浮上して。
 そのたびに躁状態で笑って、そのたびに手を切るほどまで落ち込んで泣いて。
 記憶をなくして遁走して迷惑をかけて心配をかけて
 どれだけ繰り返せばいい。
 どうしたらこんな思いをしなくて済む?
 鏡を全部割ってしまえばいいか。
 手元から刃物を遠ざければいいか。
 そんなことをしたって何も変わりはしないけれど。

 だってはじめから意味なんてなかった。
 そこに意味を見出すことが間違いなのか。
 けれどもうそれしか考えずにはいられない。

 無意味だ。
 なにもかも。
 生きていることもそれに意味を求めることも。
 なんの価値もない。


 一番の無価値は、あたしがここにいること。