切断

 自分が自分でないような気がする。
 という症状は、解離性障害にあっただろうか。
 もうなにもわからない。なにも。

 すこしでも現実に返ろうと腕を切る。
 切れ味が悪いのか、縫うほどの怪我にはならないのがいやだ。
 ただピリピリと痛むだけ。
 もっとすっぱりと切れて、
 ダラダラと血が流れる様を見たいのに。
 そうすれば本当の痛さに現実に戻ってこれる。


 まいたガーゼに少し血がにじむくらいで、
 満足はできない。


 今は、旅行に行きたくない。
 旅行に行きたくない。
 すべて決定されていて、朝昼晩を食べさせられる恐怖。
 食べなくてもいいと言いつつ、やっぱり食べさせるし、
 私は食べてしまうんだろう。
 そして太るんだ。
 もうこれ以上に太りたくはない。
 32kgでぜいぜい言っていたあの日々に戻りたい。
 魅力もくそもない。
 ただあたしはやせたいだけだ。
 あたしはあたしに恋してるんだ。たぶん。
 痩せて、がりがりになって、魅力がない自分がすきなんだと思う。


 だから、自分を認められるまで。
 自分が自分だと思えるくらいに痩せて痩せて。
 痩せたい。