ゴールデンスランバー ★★★★☆

 伊坂幸太郎の同名の小説が原作。政界の権力争いから、仙台で凱旋パレードを行っていた首相が何者かに爆弾で暗殺される。巧妙な手口でその犯人に仕立て上げられた主人公が、仲間や、逃亡中に出会った彼を取り巻く人々の手をかりて、逃走し続けるというストーリー。国家ぐるみで隠蔽と言うか偽装工作してるもんだから、中々、やりきれなさが満載で…。しょっぱなから堺雅人演ずる主人公の人の良さが全面に出されているので、ほんま逃走し続ける姿が可哀想という…w 周辺を演じる役者さん達も俗に言う「いい味」を出して、凄くその個性が生かされててよかったと思う。原作はたぶん読んでると思うんだけどほぼ覚えてなかったので、普通に映画として楽しめました。原作を覚えてたりするとやっぱり物足りないのかもしれないなぁ。でも、伊坂らしさを味わえる作品の一つではあるし、そこんとこは十分味わえるので、これを見てから「へぇ伊坂って面白い話書くんだな」と、伊坂ならではの演出をしてる「オーデュボンの祈り」「ラッシュライフ」「フィッシュストーリー」をはじめ、「ゴールデンスランバー」とリンクしている「魔王」や「モダンタイムス」なんかに興味を持ってくれる人がいればうれしいな。やっぱりこれって、原作あってこそだと思うから。

ゴールデンスランバー

ゴールデンスランバー


 ところで伊坂幸太郎というと、「終末のフール」で初めて伊坂作品に触れた父親(57歳)が「ミステリー以外の本で久々に面白い本を読んだ!」とえらく喜んでいたので、たぶん、おじさんにも面白く読めるのだと思う、と追記しておこう。

終末のフール (集英社文庫)

終末のフール (集英社文庫)