悪魔が手招きしているよ

 それでも、いったいこの僕に、何ができるっていうんだ。
 窮屈な箱庭の現実を変えるために何ができるの…?

 唐突に坂本真綾の曲が聞きたくなった。新しいアルバム、「かぜよみ」買わなきゃ。なんだか最近、DVDはそうでもないのだけれど、音楽や本はちゃんと買わなきゃいけないような気がしてならない。作者、歌手に敬意をこめているのだろうか。それなら、出演者や監督に敬意を払ってDVDも買うべきなのだろう。音楽はアルバム一枚で一時間、本は読了するのに長くても一週間かかる。映画は中間をとってせいぜい二時間しか時間を浪費しないのになぜだろう…? 値段かなぁ。でもアルバムより少し高いだけなのにね。とりあえず「K-20 怪人二十面相」は買います。あとでアマゾンで「かぜよみ」注文しよっと。

かぜよみ(初回限定盤)(DVD付)

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 午前、仕事。死にそうだった。むしろ死ぬことしか考えてなかった。スイマセンネエの言葉に全く心の籠ってない婆さんや、自分中心に世界が回っている幼子の母親や、ダッフルコートのかっこいい男子大学生が全く目に入らないくらい死ぬことしか考えてなかった。受付だって、同僚の中では一番好きな可愛い同僚と一緒だったのに、することがなくなったら気がついたら宙を見つめたまま硬直。午前診療終了時間の時には今日は帰って死のうと思っていた。帰ったら、帰ったら、帰ったら、帰ったら。息苦しい。息できない。はじめは心療内科にも行かないつもりだった。今日あたり、あぁ、全部終わらせられる…やっと救われる…って、思ったんだけど。意志が弱い。思いきりに欠ける。今更、誰も止めないのに。ただ遠巻きにどうなるかな、って見てるだけなのに。たぶんほんとに死んだら、このブログはニュースに載るだろうか。それとも、私みたいな人はもっといるんだから、新聞記事にも載らないんだろうか。どっちだっていいや。どうでもいいし。でもほんとに死ぬ前には、無駄なあがきかもしれないけど一応mixi退会してブログは消去するつもりです。データはなんとかかんとかに残るかも知れないけど。知るか。まぁそんなわけで、家に向かうはずの足が自然に梅田に向いていたのでした。
 午前中、何度かトイレに籠って泣いたので、なんだか目の周りが赤くて、それが気になって化粧直しがてらカフェに入った。のんきなもんだ。フレーバーカフェラテのアーモンド。いつもなら普通のカフェラテなんだけど、なんだか違うものが飲みたくなった。もしかしたら今日が最後かもしれないし。あんまり甘くないしほっとする味。仕事が早く終わったから、心療内科の時間までダラダラ続けざまにロングピースを四本吸った。カバンに入れていた文庫本には結局触れもしなかった。JRのホームに移動して、大阪駅で必ず止まる電車を眺めながら、この速度じゃ確実に死ねないかも…とそんなことばかり考える。不幸にも、人ごみの中で刺してくれる人はいなかった。みんな忙しいんだな。カフェでだらだらし過ぎて、心療内科にはギリギリに着いた。先生と色々話す。はじめはなんとかこらえていた涙が、途中から次から次へと流れ出してどうしようもなかった。こんなに先生色々考えてくれるのに、本当に申し訳ない。でももう、死ぬしかないんです。それしか自分を救う方法がないんです。もう終わらせたいんです。それが病魔の囁きだとしても、もはや私にはそれに打ち勝つ気力も意志も残っていないんです。先生は、帰り際にプライベートかオフィシャルかは分からないが携帯電話の番号を手渡した。本当に死にそうになったら電話なさいって。でもごめんなさい。きっと電話はしません。
 帰りの電車の中、やっぱり本を読む気にはならなくて、ぼんやりと流れる風景を眺めた。携帯からニュースサイトにアクセスした。去年の10月に自殺した女の子の話と、転落死した男の子のニュースがやけに目についた。目がひりひりする。誰も助けてくれないんだから、もう自分で助けてあげるしかないんだね。顔はボロボロだっただろうか。長く伸びた前髪でまだ流れ続ける涙を隠して、縮こまるようにして帰った。それから、三十分ぐらい、輪っかにしたロープを前にまた泣いた。ここに首掛けるだけでいいんだよ。それで、全部終わりに出来る。過食嘔吐しなくていいし、親に迷惑かけることもないし、仕事もしなくていいし、明日の新年会もでなくていいし、不愉快な弟と顔を合わせなくてもいいし、何もなかったことにできる。なのに、できなかった。気づいたら、黙々と晩御飯の用意をしていた。死ねばよかったのに。今日の献立は、白菜と油揚げのさっと煮、海老の蒸し豆腐、豚肉ときのこのとろみ煮、鯖の塩焼き。なんかよく味が分からなかった。両親の感想も覚えてない。美味しくなかったのかもしれない。泣きつかれた。


 明日は一日仕事した後、新年会らしいです。どうでもいい。明日の朝も悪夢で目覚めるのだろうか。サイコでカオスでホラーな夢も、ひたすら続く過食嘔吐の夢も、家族の蔑むような眼も、繰り返し死ぬ夢も、昔の友人のきつい一言も、なんで夢ってこうもリアルに描き出すんだろう。もう、たくさんだ。もういいよ。助けてよ。もう生きてたって意味ないよ。こうやってブログで傷ついた心をもう一度再確認するみたいに傷つけて、いったい何がしたいんだろうな。とことん自分追い詰めて、また…。