Story Seller

Story Seller (新潮文庫)

Story Seller (新潮文庫)

 前から読みたかったもの。だって、伊坂幸太郎近藤史恵有川浩佐藤友哉本多孝好道尾秀介米澤穂信の豪華ラインナップですよ。給料日までキリキリだしじっくり読もうという気でいたのに、読み始めたらノンストップ。まいったもうやめてくれやめさしてくれ、と思うのに、ページをめくる手が止まらない。

 勘違い夫婦/間違われ男/いじめられ少年/首折り男。非常に伊坂らしい、こういうの書けるの伊坂しかいないよな…と思わせる作品。ラッシュライフとか、オーデュボンが好きな私としては、待ってましたという感じ

 自転車のロードレーサーのお話。なかなか諦めのつかない主人公。底知れない実力を持つ新人。ひがむ年長組。という感じか。この人の話は初めて読みました。名前も知らなかったのだけれど、なかなか面白い話を書くんだなぁと。ほかの作品が紹介されていたが、数があるのに一つも読んだことがなかった。評価が高いものを選んで読んでみようかな。

 ま い っ た ! ! ! さすがやわこの人。とにかく読ませる。思考することにより寿命が減っていくたった一人の奇病に侵された妻をもつ、主人公。主人公が、妻と付き合うまでのやり取りと展開が、最高です。それからラストまでのドロッドロした壮絶な内容も、二人の行動も。すごい。しかも、非常に絶妙の長さ。これ以下でも、もちろんこれ以上の長編でも、これはないわ。いやぁまいった。図書館シリーズいつ文庫化すんの? どんだけもったいぶんの??

 ごめん…小市民とか古典部とかのイメージが強すぎて、こんな小説書ける人なんだとは思ってなかった。すみませんでした。旧家に生まれ、王の如くふるまう厳しい祖母、その人形となった母、婿入りして影が薄すぎる父、そんな中でただ一人の後継ぎとして生まれた主人公の女の子。友だちはふさわしくないと遠ざけられ、自由にできないところに、同じ年の女の子が自分だけの使用人として入ってくるのだが…。希望の後にやってくる絶望への落とし方が最高です。オチも色々自分で想像できる感じも。

 東京タワーのてっぺんで死体が発見された。死因は感電死。しかし何故そんなところで? 東京タワーの閑古鳥の鳴く土産屋でバイトするフリーターの主人公は、なんだか怖い(エグイ?グロイ?)過去があるみたいで、考え方も正常と狂気の間みたいな感じ。なんだけど、それについては最後まで言及されない。謎の女子高生や、探偵と名乗る男、それぞれ不思議な感じ。最後まで、納得できるような出来ないような感じなんだけど、分からないなりにページをめくっちゃうんだよね。っていうかこの本そんな話ばっかりだ。最後まで読んだけど、よくわかんないなりに面白かった。そう言えばこの人の本は「エナメルを塗った魂の比重」、読んだわ。他のも期待できるかも。


 …と、ここまで読みました。あとは、最近大注目している道尾秀介の「光の箱」と、文庫化しているものはあますことなく読みつくし全部家にあり、あとハードカバーもうっかり買っちゃったりしている大好きな本多孝好「ここじゃない場所」です。読みだしたらたぶん2時とかじゃ済まない今日…。封印封印…。